乗務員の勤務形態
乗務員の勤務形態には主に「昼日勤」「夜日勤」「隔日勤務」という3つの働き方がありますのでそれぞれ詳しく説明していきます。
昼日勤
普通のビジネスマンと同様に、昼間だけ働く勤務形態です。
勤務時間は8時間で休憩が1時間あるのが主流です。一般的なのは「昼日勤」朝7時~夕方16時まで、もしくは朝8時~夕方17時までという勤務時間になります。(※タクシー事業者によって多少前後する場合もあります。)
普通のビジネスマンと比べて朝が早いですが終わるのも早いです。夜勤の無い勤務形態なので女性や高齢の方に人気があります。
日勤の乗務員の勤務スタイル例
勤務時間 | AM7:00~PM4:00、AM8:00~PM5:00など |
休憩時間 | 1時間/1乗務 |
勤務日数 | 22~24乗務/月 |
昼日勤では、利用者は早朝に通勤でタクシーを利用するビジネスマンや、住宅街から病院などに向かう方などがメインとなります。特に早朝の時間帯は売上が多いため、この時間帯をいかに効率的に売り上げるかがポイントとなります。
この昼日勤という働き方は、乗務員になりたい方には人気がある一方で、タクシー事業者にとっては、昼だけ働ける人ばかり採用してしまうと、夜間帯の乗務員が不足し、その結果夜間のタクシーの稼働率が下がり、その分夜間の売り上げが低下してしまうという理由から、昼日勤を採用しているタクシー事業者は非常に稀です。
下記例では、日曜日が公休となっていますが、タクシー事業者は基本的にシフト制のため、シフトによって休みの曜日は変動する場合がほとんどです。
夜日勤
夜日勤は昼日勤とは逆に毎日夜間のみ勤務するという働き方です。
夜間勤務は、深夜割増料金が発生するため昼日勤に比べて給料は上がりやすくなる傾向があります。
また、お客様も昼間とは異なり、夜ならではの繁華街に向かう方、お酒を飲み終わって帰宅される方、終電を逃してしまった方などになります。
運転距離も昼間に比べて長距離のお客様も比較的多くなりますし、深夜割増料金もつきますので売上が上げやすい時間帯と言えますがこれも「昼日勤」と同じくこのシフトだけを採用しているタクシー事業者は少ないのが現状です。
勤務時間 | PM6:00~AM2:00、PM7:00~AM3:00など |
休憩時間 | 1時間/1乗務 |
勤務日数 | 22~24乗務/月 |
隔日勤務
タクシー事業者で最も主流なのが「隔日勤務」になります。
勤務時間は、昼日勤と夜日勤の2つをくっつけて2日分を一気に働くような勤務形態です。
隔日勤務の場合、出勤した日の仕事終わり、つまり出勤の翌日は「明番」というお休みになります。勤務時間は20時間程度で、その間に3時間の休憩が入るのが一般的な勤務スタイルです。
隔日勤務では、下のカレンダーのように、出勤日である「出番」、仕事が終わった後が休みになる「明番」を2回繰り返した後に、一日丸々お休みになる「公休」を 繰り返していくような働き方になります。
隔日勤務の勤務時間帯はタクシー事業者によって大きく異なる場合があります。
タクシー事業者は24時間営業が多く、その間タクシーが常に稼動できるように、どの時間帯でもドライバーが不足しないように スケジュールが組まれています。
タクシー事業者1社の中で、以下のA勤務~I勤務の中から最低2つの時間帯の勤務パターンを持っていることが多いです。
タクシー事業者で比較的多く使われているのが、B勤務とE勤務の組み合わせや、A勤務とF勤務の組み合わせなど、A・B・E・Fの組み合わせが多くなっています。
隔日勤務の乗務員の勤務スタイル例
勤務時間 |
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休憩時間 | 3時間/1乗務 |
勤務日数 | 11~13乗務/月 |
おまけ タクシー事業者は残業が多いブラック企業という勘違い
乗務員未経験の方とお話をしていると、「タクシーって残業が多そうだから嫌だ!!」「ブラック企業で過酷そうだから転職に二の足を踏んでいる。」 というようなお話を耳にすることがよくあります。
実際はどうかというと『まったくもって、そんなことはありません!!』
タクシー事業者の労働時間は、厚生労働省によって厳しく管理されており、違反した時には厳しい罰則があるため、どこのタクシー事業者であっても、その法律の範囲内で労働条件が決められているのが当たり前なのです。
以下に隔日勤務のおけるタクシー事業者の労働条件のルールを記載します。
タクシー事業者の労働時間の法定規則
- 1ヶ月の拘束時間は262時間が限度。ただし労使協定があるときには、1年のうち6ヶ月までは270時間まで延長することが出来る。
- 2暦日(隔日勤務のこと)の拘束時間は21時間以内とする。また、勤務終了後20時間の休息時間が必要である。
つまり、隔日勤務の場合一回の出番あたりの最長の拘束時間は21時間以内と決められており、それ以上働き続けることはできません。一回の出番が終わったら、最低20時間以上の休みを取ることが必須となります。
たとえば出番が終わった時間が朝5時だった場合、その日の内に次の勤務が始まることは決してありません。1出番が21時間拘束であった場合、270時間÷21=12日と18時間となり、最大でも12出番+18時間しか勤務することはできません。
1ヶ月のうち最大でも13出番で、残りは明け番のお休み、もしくは公休で1日お休みとなるため、比較的自由な時間が多いというのが、乗務員の働き方の特徴です。
もちろん、乗務員はプロのドライバーでお客様の命を預かる大切なお仕事ですから、お休みの日には、次の出番のために体調管理を徹底する必要がありますので、 休みの日の時間をすべてが自由に使ってよいというわけではありませんが、皆さんが思っている以上にしっかりと勤務時間が決められているため、 慣れてくると働きやすいと言われています。