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ウエちゃんのタクシー日記/場外編  - ウエちゃん

17稿 「ワイなんか間違ってまっかぁ?」 2001.11.20

大阪市港区にある世界有数の規模を誇る大水族館、海遊館の前でいつものよぉに客待ちをしていると、X自動車のタクシーがウエちゃんの横へスルスルと近づいてきた。
顔をよく見ると顔見知りのB運転手である。
 「おぉ~い!南港のハイアット・リージェンシーで今、演歌歌手のM進一のディナーショーが終わって、ホテルの前はタクシー待ちの客が溢れ返ってるでぇ!」
 と後左側の自動扉を大きく開けて伝えにやって来た。
 行く気なんかは全くあらへんけど、わざわざ教えに来てくれたのである。ホンマに有り難い事である。
 ふとX自動車の後部座席を見ると女の人がチョコンと座っている。
 客である。……と言う事は実車中かぁ?
 「ワイはこれから、この人を夙川(しゅくがわ/兵庫県)まで送って行くわぁ!ホンマにラッキ~やでぇ!がっはっはっ!ジブン(君)らも早い事ホテルへ行かんかいなぁ!」
 と大声で言ってドアを閉めて走り去って行った。  お客さんを乗せて、ルート外の道に反れて、実車中なのにドアを開けて他所の運転手に大声で話しかける。目と耳を疑いたくなるような光景である。
 同じX自動車のC運転手が傍にいたので、
「あのアホ運転手、何とかせぇやぁ!実車中やでぇ!」
 とウエちゃんが怒って言うと、
「なに言うてんねん!あいつは親切で言うてくれてんねんでぇ!それもワザワザ遠回りまでしてぇ!ウエちゃん、感謝せなアカンでぇ!」
 と言う。
 なんかワイの考え方が間違っているのでしょうか?
 大阪の海遊館は連日長い客待ちである。2時間、3時間は当たり前になって来た。下手をすると5時間も待つ日が頻繁に出てきた。 タクシーの中で本を読んでいたら突然、X自動車のC運転手がロックを閉め忘れた後部ドアから乗り込んで来た。よく見ると、口にタバコを咥えたままである。
「タバコは吸わんといてやぁ!臭いから!ここは観光地やねんから小さい子供も乗ってくんねんでぇ!」
と強い口調でウエちゃんが言うと、
「そんな堅い事、言わんといてくれやぁ!タバコぐらいで怒るなやぁ!」
 とC運転手は平気である。
 ウエちゃんが何時も言っている嫌煙の薀蓄をX自動車のC運転手に教え聞かすと、
「あんなぁ!タバコの臭いぐらいで客の数は変わらへんでぇ!」
 とC運転手は言う。
 どっかワイの考え方が間違っているのでしょうか?

 ウエちゃんが毎日客待ちをしている海遊館のタクシー乗り場のタクシーの三分の一ぐらいがX自動車である。
 今度はX自動車のK運転手が暇を持て余してウエちゃんのタクシーに乗って来た。
「ウエちゃん、ちょっと聞いてぇなぁ!」
「なんやねん!鬱陶しいのぉ!ワレェ!」
 とはっきり言って迷惑そうな口ぶりで答えてやった。
「さっきなぁ、南港の日本K新聞に無線を取って行ったんやぁ!ワイら5台呼ばれてん!」
「そりゃぁ、えぇやんかぁ!あの新聞社は日本の経済・産業・流通の指針になる新聞社やでぇ。えぇ、お得意さんやんかぁ!」
 と半分怒りながらウエちゃんが言うと、
「行ったらなぁ、Dタクシーが先に3台来ててん!」
「ほんならぁ、8台一緒かぁ?」
「いや、5台と3台は別々の客やねん!」
「ほんでぇ?」
「ほんならなぁ!Dタクシーの3台は阪神高速の方へ走って行きよってん!」
「はははっ!そりゃあ、完全に長距離やなぁ!」
「ワイら5台は何処へ行ったと思う?ウエちゃん!」
「そんなん知るかぁい!ボケェ!」
「500mほど先のWTC(ワールド・トレード・センター)やねん!どない思う?」
「どないも思わへん!500m先やったらアカンのかぁ?よぉ~、ワレェ!」
「迎車メーターを押して行っても基本料金の660円なんやでぇ!ウエちゃん!」
「ほんならオノレが無線取らへんかったらえぇやんけぇ!お前アホかぁ!」
「しゃぁけどなんでワイらだけ乞食みたいな仕事をせなアカンねん!」
「乞食ぃ~!お前なんやねんそれぇ?新聞社から仕事を貰ろうとって、乞食の仕事ゆぅてどう言うこっちゃ?」
「アカン?」
「ワイなぁ、K新聞の記者にも友達がおるさかいに、乞食仕事の事を言うとったるわぁい!えぇのぉ!」
「ウエちゃん、あんたどっかなんかがちょっとオカシイでぇ!」
 皆さん!ワイの考えかたがどっか間違えてまっかぁ?

 上の3件の話の全部がこの数日間に起きた出来ごとである。 この話に登場するタクシー会社はなぜか全てがX自動車!保有台数が多いからと言えばそうなのだが、まこと持って乗務員教育に不備があるようである。 このX自動車は介護福祉タクシーに力を入れそれを売り物にしているタクシー会社である。最後の話に登場して新聞社の仕事を「乞食の仕事!」と言ったK運転手君は、 この会社が養成した介護ホームヘルパー2級の有資格者である。お得意様に対して平気で差別用語を連発するホームヘルパー2級のタクシー運転手。 こんな裏表がある運転手に、いくら体が悪くなって動けなくなっても絶対にお世話にはなりたく無いものである。

 なんか間違えてる?


ウエちゃん

タクシー運転手と文筆の二足の草鞋を履く大阪のタクシー運転手
著書・・・
 『笑う運転手/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
 『国道の西、夜明けのミナミ/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
                    (両著とも…本の雑誌社より刊行)

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