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ウエちゃんのタクシー日記/場外編  - ウエちゃん

8稿 「やっぱり… 介護福祉はほんまモンがせなぁアカンのとちゃう?」 2001.07.31

 『笛吹けど踊らず!』とは正しくこの事である。
 まず最初に、大阪地区で幅広く営業しているタクシー会社の素晴らしい宣伝キャッチコピーや営業案内を見て貰いまひょ!
『心に残る素晴らしい旅のお手伝い!
 ケアタクシー/福祉タクシー/リフト付きケアバス
 21世紀に向けて乗務員から介護乗務員への成長を目指しています。』

『ケアタクシーについて……
 車椅子にのったままで乗り降りできるリフト付タクシーが街をはしるようになって久しいが、箱形でクッションよくないということから改良が求められています。
 今回座席が回転してきて車椅子からの乗り移りや高齢者で身体の自由がききにくくなった人が従来のセダン型タクシーよりも楽に乗り降りできる車輌を普通のタクシーと して街を走らせることになりました。
 料金は、通常のタクシーと一緒で初乗り料金は、660円でメーターによる運賃と貸切制(30分に2,450円)があります。
 お客様の乗り降りはもちろんのこと、病院への通院や買い物、観光などで移動される時に車椅子を押したり、乗務員で可能な諸用事は、お手伝いをしています。
 現在乗務している乗務員や乗務を予定している人たちが気持ちよく利用していただけるよう介助の勉強をしてホームヘルパー2級の資格を取得しようと準備しています。
 平成6年以降数名の人たちが大阪市消防局認定の介護資格を持っています。』

 いやいやほんまに素晴らしい文言やねぇ。
 しゃぁけど、色々と素晴らしい言葉を並べても乗務員の教育が第一歩とちゃいますやろかぁ?
 嘘で固めたら鍍金はいつかは剥げますわなぁ!山陽新幹線の高架事故がえぇ例やねぇ!
 車両数が多く千万無量の運転手をかかえるタクシー会社としては、
「そんなん、いちいち一人一人指導管理できるかぁい!」
 という言い訳が聞こえてきそうですが、そんな事はおまへん!
 トラブルが多い運転手は懲戒解雇したら良いのです。別に札付きの悪の運転手を首にしてまでも「解雇権の乱用や!アホかぁ!」とは労働組合も言わないでしょう。
 特に労働組合幹部出身の職制が占める会社やったら、そんなもん簡単に出来るはずです。

 2001年7月某日 …と言ってもほんの数日前!
 いつもの海遊館で客待ちです。
 普段の日やったら待機台数も常時待機車両の10台前後ですが、この日は何故か待機の列に入った所で28台目でした。いったい、どないなってんねん?
 おそらく夏休みという事で「海遊館は忙しい!」と言う風説流言を流した運転手がいてるんやろねぇ!
 最近のタクシー運転手もやっとITの波に転げながら乗り、携帯のメールで大嘘情報を必死で遣り取りしている運転手を頻繁に見るようになりました。

 午後1時30分に列に入って先頭からから3台目になったのが午後4時過。先頭でお客さんに乗って頂くのにあと30分は確実に待つので今日の客待ち時間は約3時間です。
 台数が多い割には、やはり夏休みという事でスムーズに流れました。
 ふと、前の車両と後ろの車両を見たら前記の素晴らしいキャッチコピーのタクシー会社のA社では、あぁ~りませんか!
 そのA社の前の運転手と後ろの運転手が降りて来て、ウエちゃんのタクシーの横に来て大声で話し始めました。

「さっきも3時間待ちやったんや!」と前の運転手。(以降、略して前運)
「ほんまかいなぁ!やっとれんなぁ!」と後ろの運転手。(以降、略して後運)
「さっきはなぁ、客がそこの大阪港の駅までゆぅ~たんやぁ!」(前運)
「そんななもん断ったらえぇねん!乗車拒否してもかまへんわぁ!ワイらボランティアでタクシー運転手をやっとるんとちゃうねんからなぁ!客はタクシーを舐めとるンとちゃうかぁ!」(後運)
 なぁ~んか、このA社の後運ちゃん!会社の真心の篭った営業方針とは全然違う事をゆぅ~てまんなぁ!
「しゃぁから、客にゴネたらなぁ大阪城まで行ってくれたわぁ!ゴネるもんやなぁ!」(前運)
 この前運ちゃんも、極道丸出しの己の顔や態度に観光客がビビって震えた事なんか、何処吹く風であります。
 こんな事の積み重ねで大阪へ来る観光客のタクシー運転手に対する悪噂が広がり、徐々にタクシーに乗らないようになっている事には気が付いてないようです。
 まぁ、気が付いてたらそんなんせぇ~へんねんけどねぇ!

   なんやかんやとワイワイ言っている内に前運も出ていきウエちゃんが先頭になりました。
 後方から男女6人の客がウエちゃんのタクシーを指差して来るのがルームミラーで見えます。
「あちゃぁ~!後のA社のアホ馬鹿運転手と二台やでぇ~!かなわんなぁ~!」
 と思っていると即座に客は3人3人に分かれて怒涛の様に乗り込んできました。
「運ちゃん!市岡元町まで行ってぇ~!」
「まいど、おおきにぃ!市岡でんなぁ?」
 客は地元の客である。市岡元町は大阪市港区にあり海遊館からはタクシーで7分前後。メーターで1140円前後の距離である。 3時間チョイ待って1140円の売上は割に合わない事は確かであるが、そんな事を言っても仕方がない。我々はタクシー運転手なのだから。

 ルームミラーでふと後続車をみると後運がこちらを睨みつけているでは、あぁ~りませんか!
 関西で言う所の「眼をつける!」と言うやつやねぇ。ウエちゃんを睨み付けられても困るねんけどぉ……。
 メーターは予定通りの1140円である。
 客を降ろして次の赤信号で止まっていると、A社の後運がウエちゃんのタクシーの横へ付けて何か言いたそうである。それではウエちゃん、優しくお話をお伺いいたしましょう!
「なんじゃぁ!こらぁ!われぇ!何が言いたいねん!ワレェ!」(ウエ)
「あんな近い客、何で乗せるねん!断らんかぁい!ボケェ!」(後運)
「なんじゃぁ!おいこらぁ!前へ出て左へ寄らんかぁい!オノレェ、言わしたる(親切に優しく鼻の穴に指を突っ込んで指導する事)さかい!こらぁ!」(ウエ)
「おぉ~!やったろぉやないけぇ!どっからでも、かかってこぉんかぁい!」(後運)
 と言うと後運は赤信号にも関わらず猛スピードで逃げて行ったのであります。

 前記の素晴らしい介護福祉に力を入れているキャッチコピーのタクシー会社と、このアホ馬鹿運転手は同じ会社なのです。 ひょっとしてこの会社、介護福祉に力を入れているフリをしているだけの会社なのかも知れませんねぇ。
 全国の読者の皆さん!どう思われはりますぅ?

ウエちゃん

タクシー運転手と文筆の二足の草鞋を履く大阪のタクシー運転手
著書・・・
 『笑う運転手/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
 『国道の西、夜明けのミナミ/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
                    (両著とも…本の雑誌社より刊行)

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