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ウエちゃんのタクシー日記/場外編  - ウエちゃん

3稿 「やっぱり…それはおかしいんとちゃう?(2)」 2001.06.14

この原稿の草稿を書いている時にとんでもない事件が起きた!
 みなさんがご承知の通りの、大阪府池田市の小学校の痛ましく悲しい事件である。
 最近、こう云う風な簡単に人を殺す事件や、その他の凶悪犯罪が非常に多い。
 こんな事件があると何故か最近は犯人の氏名や年齢や顔写真よりも、犯人の職業や前職の欄に 自然に目が行ってしまうのはウエちゃんだけだろうか?
 特に窃盗や強盗、殺人などの色々な犯罪に関係者する事件があると、逮捕者の中によく人現役のタクシー運転手や、元タクシー運転手が含まれている事が非常に多いのである。
 今回の痛ましい事件もやっぱりそうであった!
 容疑者は色々な職歴を経ているが、その中の事件前の前職歴がタクシー運転手であると一部の報道機関が大々的に報じた。

 池田の殺傷事件の、第一報の容疑者氏名を見た時はテレビの前でひっくり返った。
 なんと次々回分更新ぐらいで書こうと思っていた、タクシー運転手によるホテルマン暴行事件の 容疑者と一緒の名前ではないか!
 ウエちゃんが汗水を流して、色々なタクシー運転手に聞き込みをして取材した暴行運転手と同じ名前なのである。

 この元タクシー運転手が、池田の小学生殺傷事件の前に起こしたホテルマン暴行事件に関しては、 タクシー運転手の間では評判の事件であった。
 事件の概略はこうである。
 タクシーが一方通行のホテル侵入路を平気で逆行した為、それを注意したホテルマンが池田の殺傷犯に殴る蹴るの袋叩きにあったと言うものである。

 この事件一つを取っても、なんでこんな人間を簡単に雇うのか?
 タクシー会社は免許さえ持っていれば、どんな人間でも雇うという見本を世間に強烈に見せつけた事件である。今後も色々なメディアで叩かれるのは必至である。

 我が家の嫁はんの
「またぁ~、タクシー運転手やゆぅ~てるでぇ!どないなってんのん?ほんまに恥ずかしいわぁ~!」
 と言う一言が心に突き刺さる。

 現職のタクシー運転手が何らかの犯罪で逮捕、検挙、送検されてもほとんどの場合においてタクシー会社の名前がマスコミの報道に出る事はまず無い。
 それがたとえ仕事中の犯罪でも、なぜかタクシー会社の名前は出ない。
 タクシー会社としても使用者責任なんか何処吹く風である。
 酷い場合だと仮にYZ交通の運転手が事件を起こし、それを取材する新聞社や放送局、通信社の取材車両がYZ交通だったりするのである。
 今回の悲惨な事件もそのようである。

 ウエちゃんには高校2年生、中学1年生、小学5年生の三児の父親である。
 我が家の場合は堂々と、ウエちゃんがタクシー運転手である事を何にも気に留めず話しをする。
 しかし、同僚運転手の中には近所の目や、子供の友達の親の目を気遣い
「タクシー運転手と言う仕事が恥ずかしいから!」
 と言う理由で、奥さん以外には内緒にしていると言う運転手も沢山いる。
 我がタクシー総合基地へ電車で出勤してくる運転手の中にも、キチッとした制服とは別のスーツに身を包み、 銀色に光るビジネスケースを片手に提げ、カメレオンのようにビジネスマンに変身して通勤して来る運転手もいる。 そんなんやったら草履履き作務衣姿で通勤する変なオッサンのほうがよっぽどましである。非常に虚しい話ではないでしょうか?
 なんで、自分の職業が詐欺師でも泥棒でもヤクザでもあらへんのに、内緒にせなアカンのやろぉ?

 全国のタクシー会社も売上第一主義で二種免許を持っていれば誰でも即日採用、即日入寮、 売上さえ会社に持って帰れば仕事の内容なんか不問と言う事が無くなる日が来ないのだろうかと、 日々毎日思う浪花のタクシー運転手のウエちゃんなんやねぇ。
 ちょっと前振りが長すぎたねぇ?すんまへん!


【第2稿よりのつづき……】

 客待ちのタクシー先頭になったウエちゃん!
 3時間も待った先頭である。もぉ~、感慨が一入(ひとしお)やねぇ。
 しかし、油断は大敵なのである。
 200mほど歩いた所に地下鉄の駅があり
「そこの地下鉄の駅まで!」
 と言うビックリするような客がタマにではなく、10台に1台は確実に当たる。
 このタクシー乗り場は先頭になると、ロシアンルーレットをするような緊張感に溢れる 乗り場なんやねぇ。

 ウエちゃん個人の記録では、1998年8月13日に1日に7回も200m先の地下鉄の駅まで 実車をしている。但しこの日は、ここ5年くらいで一番忙しい日で一回の待ち時間が40分ぐらい やったから、そんなに苦には思わへんかったけど1日に7回もの200mの実車は確実に記録保持者である。

 時々、そんな事情なんか知らないウマシカ運転手がやって来て4~5時間客待ちした挙句に 地下鉄の駅までの客に当たる事がよくある。
 本当は確率から言うと1等賞の大当たりなんやけどねぇ。
 しゃあけどそんな名誉な事とはウマシカ運転手が思うはずがない。
「駅ぃ~!なにゆぅ~とんねん!すぐそこやんけぇ!歩けぇ!ボケェ!」
 と汚いものを取り扱うように暴言を吐くのである。
 3時間も4時間も更に5時間も待って200mの実車では頭に来るのも無理は無いのだが、 客の方としてはタクシー運転手が何時間待っていたかなんか知る由が無い!
 どっちかと言えば変な期待をして待っていた挙句に客に味噌糟に文句を言う運転手の方に 歩が悪い事は確かである。

 その上
「ボケェ!カスゥ!アホォ!ド腐れぇ!死ねぇ!」
 と言われたのでは客はたまった物ではない。当然のように口喧嘩や掴み合いの喧嘩が起こる。  そんな時に必ず
「おぉ~い!喧嘩やでぇ~!ちょっと来てんかぁ?」
 と傍観者のタクシー運転手から声がかかるのがウエちゃんなのである。  いつものよぉ~に緊急私設弾劾裁判が始まる。
 検事と判事を兼ねた私設裁判で判決を下すのもウエちゃんなのである。
 一つだけ付け加えると検事と判事はいてるが、相手側の弁護士は誰もいてへんのやねぇ。

 客待ちの先頭になってドキドキしながら客を待っていると、いかにも観光帰りの風体をした親子連れの客が、土産を両手いっぱいに持ってやって来た。

「運転手さん?」
「はいはい、いらっしゃぁ~い!なんでっか?」(ニコニコニコ!)
 ウエちゃんはもう、アメリカンフットボールのチアリーダー顔負けの、満面の似非造り笑顔である。

「関西空港まではタクシーでいくらぐらいなの?」
 と客はちょっと離れた所から恐々と聞いて来た。

「だいたい高速代も入れて1万5千円ぐらいでんなぁ!」(ひひひっ!やったぁ~!)
 といかにも
「それがどないしたんやぁ!」
 と言うような、ポーカーフェイスで答えたウエちやんなのであります。ホンマは心の中は大喜び!

「おぉ~い!高速代込みで1万5千円くらいだってさぁ~!」
 と客はちょっと離れた所にいる奥さんと子供に大声で叫んだんやけどねぇ。
 しゃあけどこの後に、誰もが予想をしてへんかった信じらへん事が起きるとは……!

                               つづく・・・

【読者の皆様へお詫び】
 大変残念ではございますが、突然の大事件で怒り心頭のウエちゃんでした!
 前振りがちょっと長すぎてスペースが無くなりました。
 第3稿で話を完結するつもりでございましたが、次回更新の第4稿まで話を引っ張らせて戴きます。
 ホンマにすんまへん!


ウエちゃん

タクシー運転手と文筆の二足の草鞋を履く大阪のタクシー運転手
著書・・・
 『笑う運転手/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
 『国道の西、夜明けのミナミ/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
                    (両著とも…本の雑誌社より刊行)

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