タクシー会社をさがす・料金を調べる・観光する ようこそ ゲストさん ログイン | サイトマップ | サイト内検索 | お問い合わせ

コラム

ホームヘルプ
トップページ / コラム / 平成徒然草
平成徒然草 - 坂本 互(さかもと わたる)

20稿 「2002年のW杯の思い出」 2002.08.05

あーあ、とうとう終わってしまった。1年も前から、夜のスポーツニュースが「W杯まであと○○○日○○時間○○分」で始まるのを、 一寸騒ぎすぎじゃないのと思っていた。ところが、第一戦で日本と韓国の代表チームが共にW杯初となる勝ち点を獲得するや、 両国の国民感情が燃え上がり、老いも若きも俄かサポーターに変身した。その後も両チームは快進撃を続け、国民のフィーバは止まるところを知 らずW杯一色になった。
なみのサッカーフアンであった私もTV観戦がすべてに優先する至福の一ヶ月を過ごして、「W杯を自国で開催する」というこ とがどういうことかよくわかった。我が家の食堂には世界地図が貼ってあり、アフリカや南米のチームが出る毎に地図で位置を確認した。滅 多に聞くことが出来ない国歌を沢山聞くことができたのもW杯の収穫である。ブラジルの軽快なマーチ調の国歌などはオリンピックでは絶対に聞けないものだ。

 6年前、激しい招致合戦の末、妥協の産物として日韓の共催が決まった時、勝ち点ゼロの引き分けだといわれたことを思い出す。双方の 組織委員会の連携がうまくいかず、政治的にも「神の国」発言、靖国参拝、教科書検定等、韓国の国民感情を逆なでする問題が続出した。ポ スターの表示でも、KoreaとJapanのどちらを先にするかなどとつまらない意地を張り合って、これでは共催ではなくて、競催だと批判されてい たのが嘘のようである。

 誰が考えたのか、W杯とは上手い造語だ。カップの頭文字を使えば品がなくなる。Wはフランス語ではドゥブルヴェーでVが2つということ で、つまり韓国と日本にとってのVictoryを意味し、今回の大会の内容にはぴったりだ。監督もフランス人だし、これが英語のダブルUでは洒落にならない。兎に 角、2国共催且つアジアでは最初のサッカー・ワールドカップ日韓大会は大成功のうちに幕を閉じた。

 今回、はからずも「スポーツによる国民の一体感」を体験できた我々は本当に幸運である。おそらく我々が生きているうちに再びこの感動をサ ッカーによって味あうことはないだろうと思う。2002年6月は日本と韓国の国民にとって永く忘れられない熱い記憶として残るだろう。感動が日々薄れ るなかで、今感じていることを書き残しておいて、4年後に読み返してみたい。それにしても成績から云っても、感動の大きさから云っても韓国を先に 取り上げざるをえないだろう。

 00年アジア・カップの時点で、韓国は日本に対してそれまでの優位性を失ったと見られていたが、ヒディンク体制を全面的に支援する韓国協会 の方針が実って、短期間のうちに急成長を遂げた。もともと体力的には世界のトップレベルにあり、外国や日本でプレイしていた7人の選手の個人 技を生かしたチーム作りに成功したということだろう。まさに、神様、仏様、ヒディンク様である。今、韓国からのオランダ・ツアーが大盛況だそうだ。韓国 チームに何が起きたのか。洪明甫のHP・リベロ通信を見てみよう。

 ヒディンク監督が就任して約1年4カ月。彼は韓国サッカーに多くのものをもたらしたと思う。まず、堅苦しい空気を自由な雰囲気に変えた。上下関係の厳 しい韓国では、後輩は先輩の言うことを聞かなければいけないし、先輩には何も要求できない空気がある。そういう先輩後輩関係をグラウンドから取り除いた 。選手とコーチングスタッフの間の距離も近くなった。食事の後、選手とコーチが自由に話せるような雰囲気は、以前はなかったからね。

 肉体の強さが精神の強さにつながるという発想も、これまでの韓国にはなかった。タフネスは韓国の持ち味だけど、体力面の裏付けがあってこそ最後ま で頑張れる。そういうフィジカルの強化を確実にやってきている。また、自分を常に冷静にコントロールできるのが真の精神力だ、という教えも新鮮だった。 気合だけが精神力ではない。

 もちろん、戦術的な面が一番大きい。システムは3-4-3か3-4-1-2で、前監督と似ているけれど、その中に世界の潮流を注入した。特に、FWに 守備意識を持たせた面が、大きな変化をもたらしたね。

 さて、リベロ通信も最終回になる。韓国はこれまでのW杯より、ベスト16進出の可能性が高い。韓国と日本がともに決勝トーナメントに進めたら いいね。僕は選手人生を日本で終えることができなかったけれど、W杯で最高のプレーを見せる。ぜひ、見ていてほしい。

 大会前に誰が今回のような韓国チームの活躍を予想しただろうか。組み合わせが発表された時、韓国の国民はその籤運の悪さに皆ため息をつ いた。ところがその頃、洪明甫はちゃんと一次リーグを通過できると述べていたのであるが、やはり相当の手ごたえを感じていたのだろう。大会で は次々と優勝候補のポルトガル、イタリア、スペインを破って、なんとなんと4位に食い込んだのは見事としか云いようが無い。まさにサッカー王国 ・ラテン民族の誇りを打ち砕いた天敵的存在となった。

 優勝候補が早々と姿を消していく中で、今回は特に審判の不公正の問題がクローズアップされた。韓国に敗れた監督達が口々に審判の誤審を負 けた理由に挙げているのは男らしくないが、選手をかばうための方便だとすれば許される。国民も選手団の帰還を暖かく迎えた様子から、流石サッ カーとはそうゆうものだということを理解しているなと感心した。それにしても、カメルーン―ドイツ戦の審判にはあきれた。最初の小さな反則にイエロ ーカードを出したらもう止まらない。とうとう新記録の16枚に達した。

 ほとんど一年間ベンチウオーマーだった安貞桓選手が延長後半に決勝ゴールを決めてイタリアを敗戦に追い込んだことに対し、「2度とペルージ ャの地を踏ませない」とのルチアーノ・ガウチ会長の発言には世界中から非難が集まった。この暴言はアジア人を見下した考え方から出たものと考えられるが、 古代文明とサッカーしか誇るものを持たない国民の悔しさと思えば哀れになる。勝負の世界では「師を越えることが恩返し」という東洋式の思考はイタリアでは通 用しないようだ。当分韓国の選手はイタリアリーグは敬遠した方がよいかもしれない。

 7月2日の国際サッカー連盟の公式サイトの投票で今回のワールドカップで「最も楽しませてくれたチーム」に韓国が選ばれたのは妥当で、その勝利はす べて大番狂わせの連続だった。W杯MVPであるゴールデンボール賞の選考では韓国の守備の要、洪明甫が堂々3位の票を獲得した。

   「最も楽しませてくれた応援」という賞があれば、5百万人が街頭に出て「テーハミングッ」を合唱した大応援団が入るだろう。もしかすると審判の誤審を 招いたのは赤い悪魔の圧力だったのかもしれない。スペイン戦では応援席に「アジアの誇り」という文字が英語で浮かび上がった。サッカー弱小地区と 見られてきたアジアが、初めての開催国としての面目を保つことが出来た光景に思えた。

 日本では一週間もたつと社会は平常通り動き出したが、韓国では国民の熱狂が大きかった分、冷めるのも時間がかかるようである。

 W杯のことばかり頭に浮かんで仕事が手に着かない。韓国で、「W杯後遺症」が深刻化している。東亜日報は1面トップで「経済に悪影響を与える 」と警告した。同紙によると、W杯閉幕後も多くの企業で職員の興奮状態が続き、業務に支障が出ているという。「W杯は終わりました。浮かれ気分を 捨て、作業に熱中しましょう」。ソウル市内の携帯電話工場では、遅くまでW杯関係のテレビ番組を見て生活のリズムが狂った職員に向け、毎朝始業前に 呼び掛けているという。

 興奮が冷めないのは国民ばかりでないようである。韓国政府は9日、W杯日韓大会の成功を機に、運転免許所持者の交通違反累積点数をすべて 削除、免許停止や取り消しも免除し、免許証を返還するなどの「特別減免措置」を行うと発表した。棚ぼた的なこの「恩恵」を受けるのは481万人に 上る。もしも今回、優勝でもしていたら、死刑囚も命が助かったかもしれない。しかし、まあいいではないか。今世紀中にこんなことは2度と起きない のだから。とことんまで余韻を楽しむべきである。


第19稿 「史上最強の怨霊・天神様」 も読んでみる

バックナンバー 平成徒然草

坂本 互(さかもと わたる)

元タクシーサイト代表取締役社長、現在タクシーサイト顧問
元タクシー問題懇談会会員
元イースタンモータス常務
株式会社システムオリジン顧問
東京におけるタクシー向けコンピュータシステムの草分け的存在

このコラムに関する皆様の評価をお聞かせください。

 面白かった  面白くなかった  どちらでもない

    

本コラムに関するご意見やご感想がございましたら、サポートセンター へご連絡ください。