タクシー会社をさがす・料金を調べる・観光する ようこそ ゲストさん ログイン | サイトマップ | サイト内検索 | お問い合わせ

コラム

ホームヘルプ
トップページ / コラム / 英語観光タクシー奮戦記
英語観光タクシー奮戦記 - 土居 直樹

2稿 「英語観光タクシー奮戦記 その2」 2008.05.07

大統領は引退した後も、終生、大統領と呼ばれ、セキュリティサービスが付くそうだ。
大統領を、さてどこへ案内するのか?
「時間があまりないので、近くに京都らしい所はないですか?」と傍らのMs. Virginia。

「あそこに見えるお寺はいかが?」と、僕。
「それじゃ、あそこまで歩いていきましょう。」
歩いて?車を使うのかと思っていたので、ちょっと驚いたが、
「ご希望ならそうしましょう。」
さて、京都駅ビルから、20人近い大統領の一行が突然目抜き通りを北へ向かって動き始める。
見上げるようなセキュリティサービスの大男たちに囲まれて僕と大統領が先頭を歩く。
京都が10世紀にも亘って日本の首都であったこと、あなたの国のコモドア・ペリーが日本にやってきて以来、日本の鎖国体制が揺らぎ始めてこの京都が開国か否かで侍達の騒乱の舞台になったことなど、・・・とにかくこんなことになるとは思ってもみなかったので、ただ、取り留めなく話し始めたが、駅前の大きな交差点で信号待ちになるや、周りの通行人がアメリカ人の集団の中のビルクリントンを見つけて大騒ぎ。
大統領は笑顔で手を振り、近くで手を差し出す通行人に気軽に握手。
それからというもの、クリントン氏は通行人との挨拶に忙しく、僕の説明は全く先に進まない。
そうして、目的の東本願寺の前。
「この仏教の寺院は浄土真宗というセクトの仏教で、この本堂は京都で一番大きな木造建築です。中にはとても豪華な祭壇があります。靴を脱いでいただいてよろしいでしょうか?」
「もちろん。」御影堂の前で靴を脱いでもらって、階段を上がり大きな扉から920畳敷きといわれる大広間に入る。
ところがなんと、正面に広がっているはずの大きな祭壇は、全て扉が閉じたままである。
ガ~ン!
「残念ながら何か事情があって、今日はこのとおり締まっていますが、この扉の中にはごうかな金色の祭壇が・・・」
何でまた、よりによって・・、と思ったが、もちろん予約なしの突然の訪問、文句の言いようもない。
やむなく、隣の建物に移動して、説明をしているところに、お坊さんが飛んできて、
「あの、今からすぐに扉を開けますが、戻ってきていただけますか?」
「ありがとうございます。すぐ戻ります。」
と言う次第で本堂に戻って、祭壇を開けてもらう。
冷や汗を書きながら、こうして東本願寺を終わって表通りに向かう途中、
「次に 三十三間堂に行って欲しい。」
烏丸通に出ると、6,7台の車が待機している。
大統領のすぐ後の車で三十三間堂へ。
横に座ったMs. Virginia が「最後にあなたと大統領の写真を撮って送ってあげますよ。」

観光シーズンとあって三十三間堂は相変わらずの混雑。
そこへクリントン氏一行が1001体の観音菩薩像が待ち受ける狭い廊下へ入る。
当然ながら、ここでも周りの観光客達が気づくまいことか。
たちまちどよめきが起こって、大統領に向かって説明を始めようとした途端、クリントン氏に握手を求める手が押し寄せる。
氏はニコニコしながらそれに応える。
一体なにを説明したやら定かでないが、握手の切れ目を見ては説明するという、ガイドとしては最悪の状況を繰り返しながら、何とか出口にたどり着いた。

外で大統領から感謝の握手をいただいたあと、元秘書の約束どおり一緒の記念写真を撮ってもらい、関西空港へ向かう大統領を見送って、僕にとっては一大ハプニングの幕が下りることになった。
タクシードライバーが車を置いたままで、歩いてガイド。料金は2時間の貸切料金合計8800円でありました。

第1稿 「英語観光タクシー奮戦記」 も読んでみる

バックナンバー 英語観光タクシー奮戦記

土居 直樹

1992年よりタクシードライバーとなる。英語を独学で勉強し、外国人の方を主に京都で観光タクシーの営業を行う。
2006年より従来の5人乗りのセダンから7人乗りの日産エルグランドに車を変更し、京都について勉強の日々を過す。
2008年2月、英語通訳ガイド国家資格を取得。英語ツアーガイドタクシーとして新たなスタート。

このコラムに関する皆様の評価をお聞かせください。

 面白かった  面白くなかった  どちらでもない

    

本コラムに関するご意見やご感想がございましたら、サポートセンター へご連絡ください。



バックナンバー

英語観光タクシー奮戦記

土居 直樹

外国人が多く訪れる京都で観光タクシーを営業する、タクシー乗務員の奮闘紀