昨年迄、中国経済は日本にとって脅威として語られることが多かった。 しかし、昨今は、中国経済の発展が特需として日本経済復活の大きな要因のひとつとみなされている。鉄鋼、建設機械、そして日本のデジタル製品などが豊かになった中国市場に受け入れられつつある。 ところで日本と中国のタクシー業界との関係は?と問われれば、とりあえず、タクシーは地域に根ざすサービス故に、何の関係もありそうにない、と応えるだろう。しかし、少し飛躍しすぎとのそしりを恐れずに言えば、EUならぬアジア経済共同体実現の暁には、大きな影響が出てくるだろう。 現在は国境の壁があり、労働者の自由な往来と求職が認められていないが、EUの如く、経済的国境の壁が取り払われると、日本のタクシー事情も大きく影響を受けると思われる。 ちなみに今回広州市第二位の規模の広州交通企業の経営陣と面談した折、日本のタクシー乗務員の不足と賃金事情について説明し、可能であれば、合弁企業などを設立し、中国の乗務員の中で優秀な人を選抜、教育し、提携する日本の事業者に派遣する気はありますか?と問うた。先方はひどく乗り気で、その可能性について検討したいと言っていた。 もちろん、現行の入管法の枠組みでは在留資格の問題で難しい。 しかし、時代の流れは少子高齢化の進展もあり、アジア全体の枠組みの中で、労働力の問題を考えようという方向に向かってはいる。したがって、運輸サービス業だからと言って、一国の枠内で物を考える時代ではなくなって来ているようだ。だからこそ、逆に日本の乗務員は自分達の能力を外国の人達に置き換えられてしまうような次元から、より高度な付加価値を生むサービスヘとレベルアップしていかねばならないと思う。 地域の移動に関わる様々なニーズを、創意とホスピタリティとそしてITを活用した高効率を持って満たす産業を創造しなければならないと思う。 日本のタクシー事業はその信頼感やサービスで、すでに充分アジアのタクシー業界に範たるものがあると思うが、しかし、日本の業界が真に果たすべき役割は、新しい生活総合移動産業の創造にあると思われる。 そしてそれができて、はじめて、アジアの人々を生活総合移動産業の一部の業務として旧来のタクシー乗務の仕事に受け入れることができるかも知れない。 実は最先端を欲し、創造しなければいけないのは、むしろ我が日本であり、またその可能性を一番持っているのだと思う。 中国の人々の最先端への思いを、見栄っ張りで、ドンキホーテと見るか、あくなき成長への原動力とみるか、見解の分かれるところだが、私は、あえてこれを日本のタクシー業界への応援歌と読み替え、私も日本のタクシー業界再生の為に少しでもお役に立たねばとの思いを新たにした次第。
このコラムはタクシー専門情報紙「タクシージャパン」2004年6月15日号に掲載された「清野吉光特別寄稿 中国TAXIリポート」から、特別に転載の許可を頂いたものです。 タクシー専門情報紙「タクシージャパン」ホームページはこちら
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●清野 吉光(きよの よしみつ)
1950年 長野県四賀村生まれ 1968年 上智大学外国学部ロシア語科入学 1971年 上智大学中退。印刷関係、皮革関係など様々な職業に従事 1976年 清水市の日の丸交通入社 1979年 清水市内の学習塾教師(英語担当) 1980年 静岡市内の(株)事務機器センター入社 1982年 (株)システムオリジンを仲間と創業。専務取締役 1992年 代表取締役社長就任 2000年 株式会社タクシーサイト・ドット・コム常務取締役就任 2003年 株式会社タクシーサイト代表取締役社長就任
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