中国・杭州の朝は早い。 私が住む近くの交差点は、朝七時ともなると通勤者でごつた返す。そのほとんどが自転車通勤だ。 中国庶民の足は、いまさらながら自転車が席巻していることを実感させられる。 タクシーは結構、街中も走っているのだが、街中では手を上げてもなかなか乗せてもらえない。それは、街中に警察が常駐していてデパート前などに設置してあるタクシー乗り場以外で客を乗せることに目を光らせているからだ。 しかし、警察はそうしたタクシーに目を光らせているが、交差点や横断歩道でない所を、クルマや路面電車が行き交う中、横断する人がいても、一歩間違えば交通事故につながりかねないにもかかわらず何も注意しない。当初、ヒヤヒヤドキドキしたものだが、最近はもう慣れてしまい何も感じなくなってきている。 私は、六階建てアパートの六階に住んでいるが、エレベーターがなく、日本でエレベーター慣れしている身にはこれが結構、肉体的につらく、また、荷物を持っているときに不便で困る。この間、地元の新聞に、集合住宅のエレベーター設置義務付け、という記事が出ていて、遅まきながら役所も動いたのかと目を通すと八階以上の建物に限ってエレベーター設置を義務付けたというもので、私の苦痛が解消されるわけではないことが分かりガックリ。 このアパートは、杭州の中心地にあり、東京に置き換えれば官庁街にも近く皇居を運河や公園に見立ててちょうど千代田区の麹町に似ているかもしれない。わずか五十平方メートルで家賃が月間千八百元かかる。日本円にして二万七千円ぐらいで中国人の平均的サラリーマンの月給より少し安いという水準である。麹町のマンションの家賃相場をインターネットで検索したところ、五十平方メートル前後のマンション物件で賃料が二十万円~二十五万円になっていた。物価や社会構造が異なるから一ケタ違うのだろうか、家賃と月収の比はほぼ変わらないようだ。 こんな「高級アパート」なのにどういう訳か、どの部屋にもベランダがない。最初は、洗濯物は、どうするのか、と戸惑った。 それは、窓の外にセットされているさおに棒を使って洗濯物を干すのだが、時々、失敗して洗濯物を落としてしまう。その時は、一階まで階段で降りて行き、また、六階まで戻って、そして再度、洗濯。わが身の不器用さを棚に上げて、「どうしてベランダを作らないのか」と無性に腹立たしくなってしまうのであった。
このコラムはタクシー専門情報紙「タクシージャパン」2004年4月15日号に掲載された「ダイキの中国TAXIリポート」から、特別に転載の許可を頂いたものです。 タクシー専門情報紙「タクシージャパン」ホームページはこちら
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●西湖大樹
1976年11月11日生まれ。静岡県清水市(旧称)出身。サッカー小僧で清水市立商業サッカー部へ進む。挫折して中退後鉄筋職人をしながら夜間高校に通った。その24歳で立正大学中退、会社も辞める。25歳、2002年2月17日に中国へ渡る。
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