杭州の春は温暖で外を歩いていても風がとても心地良い。家のそばを流れる京杭運河(ジンハン運河)に沿って早朝散歩すると春霞がかかってソフトフォーカスのようで美しい。 このところ二週間続けて土日休みなしで仕事をしている。だからといって休日出勤手当が支給されるわけでもない。もっとも残業しても時間外手当はないのである。 それで働いているものから文句が出るのかと言えば、出ない。私は、このことに大いに不満であるが、致し方なし。郷に入りては郷に従う以外にないとあきらめている。さすがに少々バテ気味だ。だからといって仕事が終わってまっすぐに家に帰るとは限らない。 たまには、日本のサラリーマンと同様に居酒屋や屋台で一杯やることも。といっても屋台では、羊肉で焼き鳥のような串焼きがあって、肉類ではこれが一番人気がある。一串一元(十五円)で手軽。結構うまい。 サンルンチョーやタクシーが運輸当局の規制を受けているが、この屋台は、政府や自治体の規制がなく、無許可で営業している。老板(ラオパン)と呼ばれる社長の中に月に一万元近く稼ぐ繁盛店の経営者もいると聞いた。 中国は、社会主義の国ということで何でも管理、何でも規制かと思うと少々違う。 自動車でシートベルトをしている者は少なく、バイクを運転している者でヘルメットをかぶっているものは少ない。それでいて怖いもの知らずの運転の荒さだ。だから交通事故における死亡率は日本に比べてはるかに高い。とはいえ、シートベルトやヘルメットの着用については、警察も対応しきれないというのが実情のようだ。 杭州で暮らすようになってまず感じたことは、治安が良いのだが、ホームレスが日本とは比べ物にならないぐらい多いということだった。町中で信号待ちしていると物乞いがくる。最初は、気の毒だということで小銭(一元)をあげればすぐ離れていくが、払わないとこれがなかなかしつこい。 来てしばらくは、町に出るたびに物乞いにせびられていたが、最近では、お金を払わなくしている。 その理由は簡単だ。毎回、お金を払っていたら私のお金がなくなってしまうからだ。物乞いは老人が多いが、中には、十歳ぐらいの子供がいる。親が離れたところで見ていて子供にお金をせびらせる、その方が効果があるということであろう。 汚れを知らない子供の瞳が忘れられない。貧しさゆえの悲しい光景である。
このコラムはタクシー専門情報紙「タクシージャパン」2004年4月1日号に掲載された「ダイキの中国TAXIリポート」から、特別に転載の許可を頂いたものです。 タクシー専門情報紙「タクシージャパン」ホームページはこちら
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●西湖大樹
1976年11月11日生まれ。静岡県清水市(旧称)出身。サッカー小僧で清水市立商業サッカー部へ進む。挫折して中退後鉄筋職人をしながら夜間高校に通った。その24歳で立正大学中退、会社も辞める。25歳、2002年2月17日に中国へ渡る。
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