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ウエちゃんのタクシー日記/場外編  - ウエちゃん

54稿 「2003年…師走日記」 2004.01.22

ウエちゃんも執筆寄稿協力をさせて戴いているトラモンド社の『’04日本のバス・タクシー』(新春特別号別冊)が出来上がった。2003年の、主にタクシー業界の生々しい話が満載で今年は非常に出来が良い!
http://www.tramondo.net/pub.htm#02bustaxi

http://www.tramondo.net/


 特に第一線記者による覆面談会はむちゃ糞オモロイ!実在するタクシー会社の名前がビシバシ登場しタク業界の暗部が鋭く抉られている。この記者座談会は覆面にしないと必ず誰かが殺されかねない内容である。ちなみに、この覆面座談会にはウエちゃんは参加してまへんので、羊頭狗肉なタク業界の皆様は深夜の家庭訪問、暗殺には来ないようにお願いします。
 次にオモロイのは手前味噌で申し訳ないのだが、ウエちゃんの原稿用紙に換算して約30枚弱のロング・タクシー・エッセイだろう。今年のタイトルは『笑えない運転手・ウエちゃんのナニワタクシー日記/運賃バトル編』である。そしてウエちゃんの超激辛タクシーコラムの傷口に塩と胡椒を擦り込むような風刺漫画家の森元センセの挿絵も強烈である。
 毎年恒例の文化人、著名人によるショートエッセイは…柴田鉄治(ジャーナリスト)、安部譲二(作家)、浅井愼平(写真家)、清水昶(詩人)、草野仁(TVキャスター)、坪内稔典(俳人)、松本健一(評論家)、横山たかし(漫才師)、大月隆寛(民俗学者)、遙洋子(タレント)…の各氏が執筆している。
 ジャーナリストの柴田鉄治氏は朝日新聞の記者時代の話を、作家の安部譲二氏は新宿のヤクザ組織の安藤組(安藤昇組長は後年に東映の任侠俳優に)にいた時のチンピラ時代の話を、写真家の浅井愼平氏はロケバスとトイレとタモリさんの話で大盛上がり。詩人の清水昶氏は産気づいた奥さんを連れてタクシーを止めたが何回も乗車拒否に遭いその結果、奥さんが流産し、その後絶対に子供は作らないと決心した話を、フリーキャスターの草野仁氏はNHK大阪放送局時代のマル秘の話を、俳人の坪内稔典氏は幼い頃のバスの思い出を、評論家の松本健一氏は高校時代のバス通学の話を、すまんのぉ~、許せょぉ~、わしゃ金持のお坊っちゃまじゃ~!…で赤いハンカチを咥えて登場するお馴染みの漫才師の横山たかし氏は父親が四国の僻地のバス運転手をしていた話をオモシロ可笑しく、時には切なく書いています。昨年の桂小枝さんといい芸人さんの文章は非常にいい!感心させられる。ウエちゃんはずぅ~~~と、漫画評論家だと思っていた民族学者らしい大月隆寛氏はデ・ニーロや中島みゆきを例に出してタクシードライバー考を。男性諸氏の天敵でもあるタレントの遙洋子氏はタレントとして乗り込むタクシーの色々な話を書いてはります。
 どぉ~しても読みたい!…という全国のタクシー運転手諸氏は貴社のオーナー室、社長室、役員室、一部の労働組合事務所に必ず一冊は置いてありますのでご一読下さい。一部経営者は金庫に隠したり焼却処分している輩経営者もいると伝え聞いています。その点はご留意下さい。
 一般の方で、是非にも読みたい!…という既得な方は上記トラモンド社のURLから申込み下さい。
 2003年12月24日(水曜日) 晴/最高気温…15.1℃
 別になぁ~んにもないクリスマスイブ。敬虔な仏教徒のワイにはなんの興味もない日。グァム島の島の真ん中にある小さな村のロコの教会で結婚式をやってもたけど…(すんまへん!)
 24時10分…大阪市大正区を南北に走っている片側3車線の幹線道路の大正通りを糞ガキが2人乗りをし、ノーヘルの原チャリが30台ほど道を塞ぐ。頭に来たので擦り抜けて先頭に入り斜めに停車して暴走を妨害。
「こらぁ!頭は誰じゃ!いわすどぉ、こらぁ!」
 と怒鳴ると、
「ワイやぁ、どないしてん、オッサン!」
 とたれるので、
「難波島まで付いてこぉんかぁい!半殺しにしたるわぁい!」
 と威嚇。難波島は大阪の千日前と同じく処刑場と曝し首場があった有名な所で今は倉庫街になっている。
「おぉぉぉぉ!行ったるわぁい!」
 と糞ガキが言うので全車両を誘導して難波島へ。途中こっちの威勢に怖くなったのか一台抜け、又一台抜ける。難波島に着き、どつき回してやろうとタクから降りると残っていたのは3台だけ。その3台も向きを変えて急に逃げ出す糞根性なし。追いかけて行くが逃げまわる始末。大阪府警大正警察大浪交番の前へ出る。交番前には警察の自転車3台と地域課のパトが一台。誰がどう計算しても交番の中には5人は署員がいるはずなのだが、交番所内には人影がない。交番の奥と2階の電気は点いている。
「こらぁ、ポリ!お前ら何をしとんじゃ!」
 と大声を出すが誰も出て来ず。市民の安全を守る警察官はなにをしとるんじゃ?焼鳥屋へ呑みに行ってんのか?アホくさいんで大浪交番内にて内線500番を押してアホ原チャリの確保要請をするが、
「はぁ~?なんゃぁ~?まぁ、やっとくわぁ!」
 で終わって処理も警邏も何もなし。
「ここの交番は自転車やパトがあっても誰もいてへんのかぁ!」
 と大声を出して交番前で20分ほど待機するが反応なし。こいつら人事赤字が気になりメンドイ事はしたくないらしい。後日、別件で大阪府警大正警察の刑事課の若い革ジャンを来た兄ぃちゃんにこの話をしたら、革ジャン曰く、
「いやいや、地域課も勤務時間など休憩もあるから、そんなん言うたらアカンわぁ!」
 と仰った。そうか、そうか!今、日本の警察組織は24時間勤務ではなかったんやぁ!それは、それは悪い事をした。そういえばちょっと昔にカップル喫茶を大阪府警が摘発したら、大阪府警の職員がいて公然猥褻行為で検挙された事があった。その検挙された府警のカップルは、
「時間外の捜査内偵中でした!」
 と答えて大阪府警の記者クラブが大笑いした。こんな時間外労働でカップル喫茶を内偵してはる捜査員もいてるのに…。
 ABC(朝日放送)のニュース解説をしてはる山本健治さん。高槻市議と大阪府議を歴任しはった有名な左翼議員。その山本健治さんがこんな本を出してはりましたなぁ…(遠い目!)
『大阪府警はあきまへん/ナニワ・ポリス はメチャ・ポリス 』(第三書館)
 版元宣伝コピーにはこんな文言が…大阪府警の得意技は現金ネコババだけではない。サラ金に犯罪データを流して小遣いを稼ぐ、パチンコ屋やゲームセンターを相手に賄賂を受け取って大儲け、無罪のものを捕まえて拷問まがいに調書をとって一丁アガリで「成績優秀」で出世する。空洞化する恐るべき世界警察の真実。

 2003年12月27日(土曜日) 晴時々雪/最高気温…7.7℃
 本日と明日は大阪ドームで『KinKi Kids』のコンサート。昼に長距離を一回。KinKikのコンサート終了後にKinKiファンの長距離を一回。25時前の深夜に酔っ払いの長距離を一回。本日は長距離3回で仕事を終了。こんな楽な仕事をして一生暮したい!

 2003年12月29日(月曜日) 曇/最高気温…12.9℃
 本日は夕方から西天満の某隠れ屋で在阪某局のドラマ監督が主宰する忘年会。ドラマ関係者、放送局関係者、映画関係者の宴会は時間の感覚がなく永遠に果てしなく続く。本日もタクの仕事は休みだが、明日の夕方まで宴会が続く可能性もあり予備日を取ってタクの仕事は2日間休み。毎年、この宴会は毎年12月中旬に開催されのだが、今年は年明けからこの某ドラマ監督が制作する金曜時代劇が始るのでロケや音入れが押して年末ギリギリの開催になってしまった。暮も押し迫った年末、参加者の数が心配されたが皆、暇なのか来るわ、来るわ!50名前後がやって来た。参加者は放送局関係者、俳優、タレント、歌手、芸人、芸能事務所関係者、脚本家、振付師、有名企業重鎮、有名私立大学理事、タクシー運転手、…と様々な人間が集まって来る。
 今回は初参加でJR某社苦情処理担当者が来た。こいつの話は面白かった!毎日、やってくる鉄ちゃん、鉄子のクレーマーの嵐。これは絶対に本になる。しかし、本人はJR某社の役員を狙っているのでダメらしい。
 向うのほうで佐川満男が女性人に囲まれている。佐川さんは今年、胃癌の大手術から生還して来た。新聞やテレビ等で報道されたので知っている人も多いと思うが本当に良かった!某大物落語家タレントの元・マネージャーの赤羽整から芸能界の色々な笑い話を聞いていたら佐川さんがやってきて、
「ウエちゃんはどない?」…と佐川満男さん。
「佐川さんこそ体はどぉなん?」…とウエちゃん。
 小一時間ほどウエちゃん、赤羽、佐川の三氏で健康談義。佐川満男さんはロカビリー全盛の頃の超大スター。NHKの紅白歌合戦にも3回-4回出場している。『背広姿の渡り鳥』や『無情の夢』のヒット曲は映画にもなっている。当時としては今のSMAPどころではない大スターである。千日前の大劇でウエスタンカーニバルがあった時、ウエちゃんの若き日のお母んも行っていた。その頃は自分が大好きな歌手に自分の履いているズロース(パンツ)を投げるのが流行っていた。平尾昌晃、飯田久彦、田辺靖雄、 鈴木やすし、山下敬二郎、ミッキー・カーチス、守屋浩にはタイミングを失いウエちゃんのお母んはズロースを投げられなかった。佐川ミツオが出て来たので思いきってズロースを投げたら佐川さんの頭に引っ掛たという。その時の祟りが今、佐川満男の頭に来ているとは本人は全く知らない。
 なんや、かんやと三人で話をしていたらTプロのT社長がやって来た。T社長は関西芸能界の生き字引でこの人も本を書けば絶対に面白い人である。逢う度にナニワ昭和芸能史をウエちゃんに教えてくれる。それはもう抱腹絶倒である。T社長はあのミヤコ蝶々の元・マネ。海原千里・万里も担当していた。今はベテラン女性漫才コンビになった海原しおり・さおりの誕生秘話は泪、泪、泪の物語である。いつまでも若い女優の土田早苗さんもやって来た。大阪の名脇役の安部潮も来た。元・タカラヅカの女役スタァの衣通真由美(ヅカ時代は衣通月子)も来た。衣通さんは1月2日から梅田コマで松平健公演の舞台に立つので稽古後の為「しんどい、しんどい!」…を連発。関西では著名な脚本家の森脇京子が酔っ払っている。ウエちゃんの本をドラマ化したいといつも話し合ってる丘辺渉も唯の酔っ払い。国語界のカリスマ、予備校生の生き神様と呼ばれる出口汪が一人で静かに呑んで食べている。出口さんからはオーラが噴出していて近寄りがたい。出口汪はあの大予言者、出口王仁三郎の曾孫である。今までに出版した著書の累計部数は300万部を超えていて「カネの使い道が分からん!」…という。ほんならワイが代りに使ってやるでぇ?
 その他にここでは名前が出せない有名・著名・文化人が酔っ払ってそこらじゅうに倒れている。悪夢の二日間だった。

 2003年12月31日(水曜日) 曇時々雨/最高気温…9.9℃
 さぁ、きょうから年末年始の勤務体制だ。年末年始は大好きである。ほとんどのタクシー運転手は休みを取って大阪市内に溢れ返っている供給過剰率190%のタクシーが忽然と消え需給過剰になるからである。本日の体感供給過剰率は90%ぐらいやろか?すなわちタクシーの配車を100台頼んでも90台しか来ない計算になる。
 毎年、年末年始は10時頃に出庫して20時頃に入庫するパターンでここ十年ほどやっている。特に大晦日は19時頃に入庫して素早く帰ってテレビ大阪の『年忘れ日本の歌』(テレ東系列)を楽しみにしている。
 今朝も9時に起きる予定なのに目が醒めたら13時過ぎやった。げっ!この寝過ごしが後々、どえらい目に遇う事も気がつかずノンビリと屁をこきながら出社。
 14時40分…出庫。いつもの海遊館へ15時着。げっ!げげげのげっ!な、な、な、なんとぉ!大晦日は待機タクシーが少ない筈なのに20台もいてる。単純計算で10分に一台出て200分。な、なんじゃ!おょょ!
 30分ほど待つが一台も出ないので18時過ぎに入港する船客を狙って天保山桟橋へ。2時間半ほどあるので早くも仮眠に突入!タクシー運転手は体力と気力の勝負だ。
 18時20分…天保山桟橋から阪神高速道路松原線を経由して大阪府南部方面へ。よかった、よかった!折り返して阪神高速に自腹で乗って海遊館へ。カウントダウンの人出で天保山も賑い出す。
  21時40分…海遊館からナンバへ。よかった、よかった!
 自宅へ帰って23時まで休憩してJR環状線大正駅に入構するがタクシーは3台ほど。外回り、内回りとも環状線が入る度に乗客が乗ってくる。忙しい駅前タクシー状態!ひぇ~~~!
 23時50分…これで今年の締め括りと、入庫しようと駅先頭で入構待機していると沖縄民謡酒場からベロンベロンに酔っ払った三人組の男が歩いて来た。顔立ちが間違いなくうちな~んちゅ(沖縄人)である。やばい…!うちな~んちゅの酔っ払いは手におえない。まずい…!乗って来た。(超近距離希望!)…と心に念じながら行き先を聞くと4千円近く出る距離だ。最悪…!案の定と言うか…当然と言うか…うちな~んちゅの三人は大騒ぎを始めた。今年最後の乗客がこんな奴らとは…。
「運ちゃん!今、何時ねぇ?」…と一人が聞いて来た。
「年が変わって2-3分経ちまっせぇ!」…とウエちゃんが言うと、
「それはめでたいさぁ~!」…と又々大騒ぎ!はっきり申し上げて全く目出度くない!(ドン!) 
やっと目的地に着いた。料金は3700円。
「じゃ、これお年玉さぁ!」…と6千円くれた。むむむむむ!よかったら毎日乗ってね?変わり身が早いのがワイの特技である。
(ではでは入庫!)…と帰りがけに信号で止まると無理からにロックしているドアを開けようとする紳士が一人。
「頼むぅ!お願い!乗せてぇ!」…と外から大声で言っているのでドアを開けると、
「ご、ご、ごめん!奈良へ行ってぇ?お願い!」…と懇願して来る。
「誰も嫌がって乗せてくれへんねん!」…と紳士は泪顔。
 奈良なら阪神高速道路と第二阪奈道路を使えば往復で1時間ほど。
(今年の初仕事が奈良かぁ!こいつぁ春から縁起がえぇわいなぁ!)…と軽く引き受けて奈良へ。
「助かったわぁ!大晦日や元日は奈良へは誰も行ってくれへんから困るねん!ホンマに助かったわぁ!」…と紳士さん。
(なんでや?なんでや?)…と考えつつもウエちゃんのタクシーはひたすら奈良市内へ向かって疾走中!阪神高速道路から第二阪奈道路の生駒トンネルを抜けて奈良県へ。あと10分も走れば奈良市内だ!生駒トンネルを抜けて数キロで大渋滞に突入!動かない。全く動かへん!なんで?なんで?なんで?
「奈良の正月は春日大社への初詣で毎年こうなんやぁ!」…紳士さんが一言。
 結局、往復1時間が往復4時間もかかる。あぁぁぁぁぁぁぁ、もぉすぐ初日の出が…。どぼじて…。


ウエちゃん

タクシー運転手と文筆の二足の草鞋を履く大阪のタクシー運転手
著書・・・
 『笑う運転手/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
 『国道の西、夜明けのミナミ/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
                    (両著とも…本の雑誌社より刊行)

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