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ウエちゃんのタクシー日記/場外編  - ウエちゃん

38稿 「やっぱり煙草臭いタクシーは嫌いです!」 2002.11.22

なんとも摩訶不思議な事件があったものですなぁ?
 テレビや新聞のニュースは最初の一報を伝えただけで後追いのニュースは全くなし。
 書いて売れたらなんでもありの週刊誌にも掲載されない。
 ウエちゃんの今までの25年間に渡る運輸関係業界に所属している経験では恐らくと言うか、 ほぼ確実に裏の世界で運輸族議員が口止めに東奔西走南船北馬の暗躍しているはずである。
 ウエちゃんがこの事件を知ったのは夕方の何気なく見たテレビのニュースだった。
 その時のキャスターが言った最後の一言が印象的だった。
「タクシー運転手は高齢の独身者が多く、ワケありの借金を抱えた人間も多数いる。この事件はその弱みに付け込まれた犯行だと思われます。」
 …と当を得たコメントである。
 タクシー運転手=高齢者=独身=ワケあり=借金とは、情けない。
 事件は東京の某タクシー会社のタクシー運転手が、中国人女性との偽装結婚で3人が逮捕された所から始まる。
 某テレビ局の報道部はこのタクシー会社にカメラを持っての突撃取材である。
 そこに映る屋根もない車庫の、野晒しのタクシー車両を見て唖然とした。
(このタクシー会社はあのテレビなんかの報道で話題を振り撒いたタクシー会社やんけぇ!)
 …と思ったのはウエちゃん一人ではないと思う。
 この事件は調べれば調べるほど、東京のタクシーの運転手たちに聞けば聞くほどけったいな話である。
 このタクシー運転手3人が逮捕されたタクシー会社はタクシー運転手が200人ほどの会社だ。
 そして詳しく調べるとその200人のタクシー運転手の中で中国人と結婚していた輩が逮捕された輩を含めて総勢で37人もいたと言う。
 それも50歳、60歳のえぇ歳こいたオッさんが20歳~30歳も歳が離れた30歳前後の中国人の女との結婚である。
 このタクシー会社での中国人女性との結婚率は計算すると18.5%。同一タクシー会社の約2割のタクシー運転手が歳の離れた中国人女と結婚した事になる。
 調べでは偽装結婚の報酬はたったの50万円だそうだ。
 知り合いの企業舎弟の友達に聞くと中国人女性との偽装結婚の世間の相場は200万円前後だそうだから、 カネに困っているタクシー運転手は手配師の代理人からすれば格好のエサである。
 この事件でのタクシー会社側の取材のコメントがまた糞々大笑いである!
「いゃぁ~、中国人と偽装結婚してるなんて全く気がつきませんでした!わっははは!」
 …である。
 いくら偽装結婚でも書類上は戸籍の上では夫婦である。戸籍の上で夫婦になると言うことは、社会保険などの各種諸手続 きの段取りで会社に報告しなければならない。
 自分の会社で2割もの運転手が、歳が離れた中国人女性と次ぎから次ぎへと結婚して書類を提出していてもこのタクシー会社は何も気がつかないらしい。
 ウエちゃんは客として、こんな呑気なタクシー会社だけには絶対に乗りたくない。
 もし乗ったタクシーが事故でもしてもされても、
「事故があったんですか?全然気がつきませんでした!わっははは!」
 と言われた日には困ってしまう。
 2002年11月15日(金曜日)
 午前9時10分
 翌日の東京でのテレビ番組の収録の為に新大阪駅までタクシーで行くつもりで大阪市大正区の自宅を出る。
 表通りの角の信号でいつも数台のタクシーが付け待ちをしているので飛び乗る。
 タクシーに乗った瞬間、臭い!強烈なニオイだ!
 タバコの匂いである!ラジオは大きい音でガンガン鳴らしている。無線もラジオ以上に大きな音。
(なんじゃ!こりゃ~?わしゃ、酔うどぉ!こんな臭いタクシー!)
 と思っているとドアが閉まる。
 行先も言っていないのに黄色信号が赤信号に変わりそうなので急発進で直進。
「ここを右折してくれへん?」
 といったらこの運転手はどないするんやろぉ?
 タクシーを一回止めて運転手を引き摺り出してシバキ上げたろうかと思ったが、 東京まではあと500キロもあるのに最初の300メートルで足止めを食うのはメンドイので大人しくする。
 直ぐの信号で止まり、
「どこまで行きまんのん?」
 とぶっきらぼうにタクの運ちゃんが振り返って聞いて来るが見たことが無い顔である。
 だいたいウエちゃんも営業範囲にしている地元のタクシー運転手の顔はこちらも知っているし、あちらも知っているのだが…
「新幹線に乗るさかいに新大阪まで行こう思ぉたけど、アンタのタクシーはタバコ臭ぉてたまらんから、環状線の大正駅でえぇわぁ!」
 と言ったら運転手は、
「チェッ!」
 と下を鳴らす。
 普通ならこの時点でタクシー運転手をシバキ上げて、そのままタクシーを会社まで乗り着けて暴れるのだが先が長いので我慢する。
 なかなかタクシー運転手の教育が良く出けたタクシー会社である。
 もしこんなんで優良事業者表彰を運輸局から受けてたら怒っこるでぇ!
 ウエちゃんの自宅近所の交差点の付け待ち角から新大阪までだと4千円強である。最寄のJR環状線大正駅だと基本料金である。
 タクシー運転手にとってはまさに天国と地獄だ!
 しかしこの天国と地獄を分けたのがタクシー運転手自身である事には、本人は全く気が付いていないはずである。
 それより乗って来た客の態度が悪いようにタクシー運転手仲間に話すだろう。
 別に此方は領収書さえあれば放送局から交通費が出る事になっているので新大阪までタクシーで行っても何の問題も無い。
 つまりウエちゃんにとっては今乗っているタクシーは何処まで乗っても、伊丹まで乗っても熱海まで乗っても領収書さえあれば タクシー代金は放送局持ちなのでタダなのである。
 しかしそんな好条件でもタクシーに乗るのが嫌になり、一番近い基本料金の駅までしか乗りたくないタバコ臭いタクシーに乗ってしまった。
 全国にはホンマは長距離やのに1分でも1秒でも早く逃げ出したいタクシーに乗っている、隠れた長距離客が多いのではないのでしょうか?
 東京のタクシーはどのタクシーに乗ってもタバコ臭さもなく爽やかだった!偶々偶然なのかもしれないが…。 しかしこっちが話しかけてもファストフード店のようなマニュアル通りの返事だけで、その先の会話が弾まないのでちと淋しい!


ウエちゃん

タクシー運転手と文筆の二足の草鞋を履く大阪のタクシー運転手
著書・・・
 『笑う運転手/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
 『国道の西、夜明けのミナミ/ウエちゃんのナニワタクシー日記』
                    (両著とも…本の雑誌社より刊行)

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