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我々、運転を職業とする者にとって恐ろしい有ってはならないのは 事故が第一なのですが、同率1位に匹敵するのが違反での 免許が停止又は取り消しとなる事です。
万一、免許が停止になれば、出庫時の免許証の提示が出来ませんので 乗務員証(タクシーの前に有る写真付きの氏名表)が受け取れませんので タクシーに乗務できません。
簡単に云うと干上がってしまう訳です。
唄を忘れたカナリアは会社にとっては、山形名産の「ラフランス」(洋ナシ)と云う事で お給料を払う対象とは見なされません。
では、何故免許の停止や取り消しと云う事態になるかと云えば、違反が発覚して 当局からお叱りを受けるからです。
良く考えますと、この非常事態を回避するには、方法は二つ考えられます。
A.違反をしない!!
B.当局のお叱りを回避する!!
Aの選択肢は自分が一生懸命努力をすれば成し遂げられる様に思えますが なかなか客相手の商売なので、問屋はそう簡単に卸してくれません。
以前、入社したてのドライバーが講習で習った安全運転を実直に行い30km道路 を1kmオーバーする事なく走行したそうですが、お急ぎのお客さんは激怒し お金を払わず降りてしまった、と云う事実が有ります。
結構、ドライバーの運転に注文を付けるお客様は多く、 特に速度が遅い!!と怒こられる事も多々あります。
一時停止を停まって怒られたり、一方通行の逆送命令を出すお客さんが居るのも事実です。
あまりひどい内容は拒否しますが、10Km程度のスピードオーバーを拒否していたら この仕事はやっていけません。
それではどうするか・・・
そうですネ!!B.当局のお叱りを回避する、こちらを選択する訳です。
深夜に良く検問に遭遇しますが、特に飲酒の検問 等は、タクシーが停められる事は有りません。
私の5年弱の経験で飲酒検問は10回以上遭遇しておりますが 一度も停められた事は有りません。
悪名高いネズミ捕りですが、こちらもだいたいの 実施場所と時刻が有る程度予想がつきますので、回避は可能です。
問題は、あまり走り慣れていない所へ行き、お客様がギャーギャーやって平常心を失って 居る時に、ちょっとした魔が差して右折不可を右折した様な場合です。
不幸にもその先に交番が有って、たまたま暇そうにしてた警察官の方がバッチリ見ていて かすかな微笑みと共に、私のタクシーの前に立ちはだかったりしたら・・・・・
この様な時に回避テクニックが必要とされます。
実はつい先日、これに近い状況に遭遇し、私のテクが素晴らしかったのか 警察の方がただ単に優しいだけだったのか定かでは有りませんが回避に成功しました。
今回のケースをお話する前に私が、学生時代に成功した回避成功例を一つお話したいと思います。
当時20歳の前途有る好青年だった???いっぽクンは オヤジが使っていた、スズキフロンテ360ccに乗って、彼女と共に銀座に買物に行きました。
丁度、都内の繁華街に100円を入れると40分間駐車出来る制度が始まった頃でして 怖いもの知らずの好青年だった私は
「金なんか入れなくても何とかなるべ~!!」
と勝手な判断の元、何と4時間以上の無料駐車と云う暴挙をおかしました。
ショッピングを終えルンルン気分で車に戻ると、フロントガラスには違反のステッカーが・・・
そんな物屁とも思わない強気の好青年は 後日、愛宕警察署への招待状を受け取る事となりました。
この招待を拒否し続けると、複数の優しいオジサンが手錠とパトカーを伴って 我が家まで迎えに来てくれると親父から聞き、サクサクと招待状のお誘いに応じた 訳であります。
ご招待頂いた、「愛宕警察」では、予想外だったのですが女性警察官2名がお出迎え 下さり、早速楽しい???お話合いとなりました。
『早速ですが、何故4時間以上も銀座の真ん中で違法駐車をしたのですか?』 と女性警察官。
「この度は、お忙しい所、お手数をお掛け致しまして本当に申し訳有りません」 と私は、謝りから入りました。
「法治国家の一員として、法に触れた行為をした事は紛れもない事実ですので」 「手続きを進めて頂けますでしょうか」
と直接質問には答えず、ひたすら低姿勢を貫きます。
頭髪は今と異なりフサフサで、「チリチリのパーマ」でおでこは「ソリコミ」!!
エナメルの白い靴に「フレア」に「白いベルト」で「真っ赤なアロハ」!!
完璧に手入れされた「極細両上がり眉毛」に「偽ビトンのポーチ」のチンピラ好青年が 小一時間ひたすら謝り、「罰は厳粛に受け止めます!!」
なんて、腰をかがめて低姿勢を続けたら、なな何と
『今回は初めての違反だし、そこまで反省しているのであれば、帰っていいですよ』
と信じられないお言葉を頂戴したのでした。
後日、高校の同級生だった「ヤハギくん」が同じ容疑で、やはり愛宕警察に招待された時に 彼にこの秘伝を伝授したのですが、彼は2時間謝って切符を切られ それから、私と口を利いてくれませんでした。
今回の危機回避の状況は、朝の無線傍受から物語が始まります。
日曜日の朝は、通勤・通学の人々がおりませんので、結構ひまな時間が有ります。
駅の待機場で運転手同士でお喋りをしていると、私の無線機が吼えました。
駅から徒歩2分の会社からでした。
早速、車を進め程なく到着しますと、お客様はもうお待ちですぐにご乗車!!
横浜まで!!
の一言を残し、後部座席に倒れこみ、あっと云う間に夢の中へ。
この会社は、ソフトの開発を行っている会社で、間違いなく徹夜明け!!の状態です。
私もこのソフト開発の世界には20年以上お世話になりましたので お客様の心情は察して余りあります。
暇な日曜のそれも朝一番で、横浜までのお客様ですので、とても良い仕事です。
後部座席のお客様の寝息を聞きながら、ついつい昔の同じ様な経験を思い出し 車を進めておりますと・・・・・
直進しなくては、ならない交差点で、左折のレーンに入っているではないですか。
アリャ!!困った!!
信号は間もなく青色に変わりそう
直進車線には割り込めない
回り道で、徹夜明けのお客さんに迷惑は掛けたくない
etc
色々な状況を瞬間的に判断した私が、
赤色信号の状態で、青に変わる直前に猛ダッシュを決め左折車線から 無理やり右車線の車の前に割り込み、直進する「荒業」を完成させたその時でした
警視庁のワッペンを腕につけたオジサンが両手を広げMyタクシーの前 に薄笑いを浮かべながら立っていたのでした。
タクドラとしては、絶対に逆らっててはいけないオ・ジ・サ・ンなので こちらは、わざと泣き顔を浮かべ、停車しました。
今回の回避テクニックはこの「泣き顔で停車!!」から始まっていました。
状況は間違いなく120%私に不利、全てこのオジサンに目撃されています。
今回の場合は、素早く罪を認め、何故違反に至ったかを説明し 情状を酌量してもらい、チャラにして貰おうとの結論に達しました。
後部座席には、前後不覚で爆睡中のお客さんも転がっている為 困ったお客を乗せて、尋常でな状態ではない運転手と云う設定です。
運転席に向ってくる警察官に、見える様に私は後部座席を指差し 寝転がっている、「オジサン」を警官に認識させます。
案の定、警察官の視線は先ず後部座席へと注がれました。
鞄を枕に、口は半開きで、涎も少々垂れて、絶好の表情を作ってくれてます
「運転手さん!!だめだよ左折車線を直進しては!!」と云う言葉に私は
「シーー!!」と口の前に人差し指1本を出して静かに話す様に合図を送ります
そして、小声で・・・ 「八王子の繁華街で、暴れて交番にお世話になった泥酔者を警官に頼まれて」 「乗せたんだけど、やっと寝たんだから、起さないで下さいよ!!」
「違反は、認めますがこのオッサン結構凶暴で、起きると厄介ですがね~」
「お巡りさんも日曜の朝早くから酔っ払いと喧嘩したくないでしょ~!?」
警察官も後部座席を覗きながら、思案顔を浮かべて・・・
「貴方たちはプロなんだから、ちゃんと法規を守ってくれなけ・・・・」
と、小さな声で云いながら、アゴを右から左へ2回動かし
早く行け!!との合図!!
喜び勇んで、出るのは素人で、表情の一部に「何だ助けてくれないのか」の 少々ふて腐れた顔を残しながらの発車が玄人ならではの業です!!
でも、一応「済みませんでした」の殊勝な言葉を残す事も忘れません!!
警官が視界から、完全に消え去った頃、警官との会話の声が聞こえたのか 後部座席のお客様がうつろな声で
「なっ何か有ったの~!?」とのお問い合わせ
すかさず、私は・・・
「交差点で停車していたら、警官が覗き込み、酔っ払いは大丈夫か?と聞いたもので」
「失礼な!!後部座席のお客様は徹夜でお仕事をされて、お休みになっているのです」 「酔っ払いなんかじゃ有りませんよ!!」と抗議していたんですよ~!!
「まったく無礼な警官ですよね~!!私がちゃんと云って聞かせましたから」 「まだ少々距離が有りますので、ゆっくりお休み下さい」 「お近くになりましたら、お声を掛けさせて頂きます(^^)」
「あっそっ!!」 グ~グ~。
タクシーの運転手もこれで、結構大変な商売なんですよ!!
なんて、戯言をいったら怒られますよね!!(^^)
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●いっぽ
1957年生まれの51歳 高校を卒業後、職を転々とし、ひょんなきっかけで26歳でソフト開発会社に就職 以後20数年SEとして金融・流通・通販etcのコンピュータソフトの開発業務に従事 47歳でタクシードライバーに転職し現在5年目 血液型A型、妻・娘二人 自身のブログも3年目に突入:http://blogs.yahoo.co.jp/ippo_toktyo 実話をベースにしている??? 読んでのお楽しみ・・・ あること・ないこと思いついたまま書きました。
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